東京国立博物館へ行った。
ヤマブキ色の陽光に包まれた空気を見ると
この時季は何故か上野へ行きたくなる。
上野は濃い。
昭和の高度経済成長期の、庶民の情念みたいなものが大気中に漂っている感じがする。
うかつに近づいたりできない。
その雰囲気を感じる覚悟が必要なんだ。
それは、あか抜けたかろやかな楽しさでは無く、なんだか“人間っていうものは…”的な、
じんわりした、水で湿った布みかいな重さがある。
私はこの感情と向き合うにはこの日差しのレベルでないと無理である。
2回目の上野だった。
特別展で『妙心寺』をやっていた。
一つ一つはいいものだった。
しかし、「これらをガラスの向こう側に飾っておくべき物ではないだろう」という気がした。
実際、それらはその時代の人々の生活の風景だったものに過ぎない。
後世の為に、いい状態で保管しておく事は大切だ。
でも今を生きる私たちには、実生活において活用し、楽しめるのもこそ、真に価値があるものだと思える。
芸術は拝むものではない。
私たち個人の為に、多様に存在すべきだ。
心ある人に配ったらどんなに素敵なことだろう!!!!
併設されている考古博物館の方が私は面白かった。
中学生時代の教科書に載っていた写真(約250万年前に始まった文明の足跡が、例えば矢じりや装飾品、土偶、石器、埴輪、土器)が目の前に展示されていた。
魏志「倭人伝」に出てくる卑弥呼の金印のレプリカもあった!!!!
すごい! かなり感動。
今の時代にまで残った物の、力強さを感じた。
きっとネットでのブログなんぞ、形を持たない広い空虚に消えていくのだろう。
帰り際お腹がすいていたので、駅前の屋台でたこ焼きを買い、その場の植木の段に座って食べた。
目の前を通り過ぎていく人々が、いつも見ている人々の様子と違う。
それが面白みでもあり、私の疲れる原因でもある。
東京は六本木の様に未来都市ぶった面もたくさんあるが、そうでない面もたくさんある。
小さいのに均一では全くない。
これからも我がままに、独創的に成長できたらいいなぁと思う。
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