2010-05-18

いつもチュー

祖母は、
陶器製のまねき猫を持っている。

手乗りサイズのその猫の頭のてっぺんは、
赤い口紅の跡が染みついて離れない。
祖母は、
そのまねき猫の頭のてっぺんに
小さい頃いつもチューしていたそうだ。
それで

今の様に真っ赤のボンヤリした輪が残っている。
祖母は、
そのまねき猫を人目に付く、
いつも見える場所に置いていて
今もたまにチューすると言いながら
猫をひょいと手にとって”チュッ♪”として、
またまねき猫の座布団の上に戻した。

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